【一陸技 過去問解説】令和5年7月期 第1回「無線工学の基礎」全25問のテーマと解き方

このページは、第一級陸上無線技術士「無線工学の基礎」令和5年(2023年)7月期 第1回(全25問)の解説です。

試験問題そのもの(問題文・選択肢)は、著作権の関係で転載していません。代わりに、各問が「どんなテーマを問うているか」を要約し、その概念と解き方を解説しています。実際の問題は、日本無線協会が公開している過去問でご確認ください。

科目全体の攻略法は無線工学の基礎 攻略、勉強の進め方は独学合格ロードマップをどうぞ。

各問には「令和5年7月期1回 基礎 A-1」のような通し番号を付けています。今後ほかの年度・回の解説が増えると、同じテーマの問題どうしを「関連」でリンクしていきます。

目次

A-1 円形コイル中心軸上の磁界

要約:円形コイルの中心軸上の点に生じる磁界の強さを、ビオ・サバールの法則から積分して求める過程の穴埋め問題。

解説:微小部分dlが作る磁界をビオ・サバールの法則で表し、軸方向成分(dHx=dH·sinθ)だけを円周全体で積分する(軸に直角な成分は対称性で打ち消し合う)。結果は H=Ir²/{2(a²+r²)^{3/2}}。微小磁界の式と、軸方向成分のみが残る対称性を押さえる。

関連分野:電流と磁界・ビオサバール(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-2 2点電荷による電位差

要約:距離rだけ離れた2つの点電荷について、線分の中点cと、そこから垂直に√3r/2離れた点dの電位差を求める問題。

解説:各点の電位は2電荷からの距離による電位の重ね合わせ。中点cは両電荷からr/2、点dは両電荷から√{(r/2)²+(√3r/2)²}=r。各点で V=(1/4πε0)·ΣQ/距離 を計算し、その差をとる。点電荷の電位の重ね合わせと幾何的な距離計算がポイント。

関連分野:静電界・電位(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-3 磁気回路の磁束

要約:複数の磁路をもつ鉄心磁気回路で、ある磁路の磁束φを求める問題。

解説:磁気回路を電気回路に置き換え、起磁力NIと各磁路の磁気抵抗R=l/(μS)から考える。磁路が並列・直列に組まれた合成磁気抵抗を求め、φ=NI/(合成磁気抵抗)で計算すると φ=2μNIS/(5l) の形になる。磁気抵抗の直並列合成と起磁力の関係を押さえる。

関連分野:磁気回路(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-4 回転コイルの起電力

要約:磁界中で回転する長方形コイルに生じる起電力について、磁束鎖交数・起電力の式・最大値を問う問題。

解説:コイル面がBと平行な状態(鎖交磁束0)から始まるので、磁束鎖交数は φ=NBS·sinωt。起電力は e=−dφ/dt=−NBSω·cosωt で、最大値はNBSω。発電機の原理どおり、鎖交磁束を時間微分する流れを押さえる。

関連分野:電磁誘導・交流発生(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-5 ブリッジ回路(Δ-Y変換)

要約:平衡しているブリッジ回路で、Δ-Y変換を使って未知抵抗RXを求める過程の穴埋め問題。

解説:3つの抵抗が作るΔ結線をY結線に変換(各Y抵抗=隣り合う2辺の積/3辺の和)して回路を簡単にし、ブリッジの平衡条件(対辺の積が等しい)からRXを求める。Δ-Y変換の公式と平衡条件を組み合わせるのが核心。

関連分野:直流回路・ブリッジ(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-6 相反の定理

要約:2つの回路で電源と測定点を入れ替えても電流比が等しくなる「相反の定理」の証明過程を問う問題。

解説:図1と図2でそれぞれの枝路電流を分流・分圧の関係から表し、両者の比I3/I1を計算すると1になることを示す。電源と検出点を入れ替えても伝達の比が変わらない、という相反性が成り立つ。各回路の電流を素直に分流則で書き下すのがポイント。

関連分野:回路網・相反定理(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-7 直列共振回路(誤り選択)

要約:直列共振回路の消費電力・電流の位相・尖鋭度Q・帯域幅に関する記述から、誤りを選ぶ問題。

解説:共振時は電流が最大でR両端の消費電力も最大、電流は電圧と同相。電流がI0/√2となる2周波数では消費電力が半分になる。尖鋭度Q=(1/R)√(L/C)、帯域幅B=f0/Q=f2−f1。位相の向き(f2側は進みか遅れか)や帯域幅の式を取り違えた記述が誤り。共振の各量(Q・B・位相)を正確に押さえる。

関連分野:共振回路(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-8 力率改善の静電容量

要約:誘導性負荷に並列にコンデンサを接続して力率を改善するとき、必要な静電容量Cを求める問題。

解説:SW開(C無し)で電流2A・力率0.6なら、有効電力P=VIcosφ=100×2×0.6=120W、無効電力Q=VIsinφ=160var。SW閉で力率0.8にするにはQをP×tan(cos⁻¹0.8)=90varに下げる必要があり、Cが補う無効電力は160−90=70var。Qc=V²ωC より C=70/(100²×700)=10μF。無効電力の差をコンデンサで打ち消す考え方が核心。

関連分野:交流回路・力率改善(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-9 半導体の導電率

要約:電子密度nとホール密度p、それぞれの移動度から半導体の導電率σを表す式を選ぶ問題。

解説:導電率は電子とホールそれぞれの寄与の和で、σ=q(nμn+pμp)。電荷q・密度・移動度の積を足し合わせる形で、各キャリアが並列に伝導に寄与する。電子・ホール両方の寄与を足す基本式を押さえる。

関連分野:半導体・伝導(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-10 ダイオード回路の動作点

要約:順方向特性が与えられたダイオード回路で、電流IDと両端電圧VDを負荷線から求める問題。

解説:ダイオードの順方向特性(VD≧0.6Vで導通する直線)と、回路の負荷線(電源電圧=ID×R+VD)を連立して動作点を求める。両式を解くと VD≒0.7V、ID≒0.05A になる。特性直線と負荷線の交点が動作点、という考え方が核心。

関連分野:半導体・ダイオード回路(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-11 ダーリントン接続

要約:2つのトランジスタを接続した回路(ダーリントン接続)の電流増幅率Aiと入力抵抗Riを求める問題。

解説:ダーリントン接続の電流増幅率はほぼ2石のhfeの積で Ai≒hfe1×hfe2+…=120×50+(120+50)≒6,170。入力抵抗は Ri=hie1+(1+hfe1)·hie2=3k+121×2k≒245kΩ。2石を縦続にすると増幅率が積、入力抵抗が大きくなる点を押さえる。

関連分野:増幅回路・ダーリントン(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-12 マイクロ波の電子管・半導体素子

要約:インパットダイオード・トンネルダイオード・進行波管が利用する物理現象を問う問題。

解説:インパットダイオードはPN接合のなだれ現象とキャリアの走行時間効果で発振、トンネルダイオードは順方向電圧でのトンネル効果による負性抵抗を利用して発振、進行波管はら旋(遅延)回路で電子と電波を相互作用させ広帯域増幅する。各素子と利用する現象(走行時間・順方向の負性抵抗・ら旋遅延回路)をセットで覚える。

関連分野:マイクロ波デバイス(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-13 トランジスタ増幅回路(エミッタフォロワ)

要約:エミッタ側に抵抗をもつトランジスタ増幅回路の入力インピーダンス・出力インピーダンス・電圧増幅度を求める問題。

解説:エミッタに抵抗R2がある構成では、入力から見ると Zi≒hie+(1+hfe)R2=2k+101×2k≒200kΩ と高くなる。出力(エミッタ側)から見たインピーダンスは Zo≒hie/(1+hfe)≒20Ω と低い。電圧増幅度はほぼ1(エミッタフォロワ)。入力高・出力低・利得約1という特徴を押さえる。

関連分野:増幅回路・h定数(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-14 オペアンプ回路の伝達関数

要約:2つのオペアンプ回路の伝達関数が等しくなるときの自己インダクタンスLを求める問題。

解説:図1(入力にL、帰還に4kΩ)の利得は−4000/(jωL)、図2(入力に4kΩ、帰還に0.01μF)の利得は−1/(jωC·4000)。両者を等しいと置くと L=4000²×C=16×10⁶×0.01×10⁻⁶=160mH。反転増幅器の利得=−(帰還インピーダンス)/(入力インピーダンス)で式を立てるのが核心。

関連分野:オペアンプ(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-15 CR回路の過渡応答

要約:CR回路に矩形パルス列を加えたときの出力電圧から、定常状態での電圧V1を求める問題。

解説:時定数CRがパルス間隔T2より十分大きいので、コンデンサはほとんど充放電せず、出力はパルスの直流分(平均値)を中心に振れる。定常状態では入力の平均値と出力の関係から、面積(パルス幅×振幅)のつり合いでV1を求める。時定数とパルス周期の大小関係で波形の崩れ方が決まる点を押さえる。

関連分野:過渡現象・CR回路(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-16 JKフリップフロップ回路

要約:3段のJKフリップフロップにデジタル信号を入力したとき、ある時刻の出力X1・X2・X3を求める問題。

解説:各FFはエッジトリガ形でクロックの立ち下がりで動作する。初期状態(全FFリセット)から、入力AとCの「1」「0」の変化を時系列に追い、各FFのJK入力と立ち下がりのタイミングで出力が反転する様子を順に書き出す。指定時刻t1での各出力を求める。クロックエッジでの状態遷移を1段ずつ追うのが核心。

関連分野:論理回路・順序回路(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-17 指示電気計器(誤り選択)

要約:熱電対形・整流形・誘導形・電流力計形・静電形の各指示電気計器の特徴から、誤りを選ぶ問題。

解説:熱電対形は波形によらず実効値を指示する(「最大値を指示」は誤り)。整流形は整流した電流を可動コイル形で測る、誘導形は交流専用、電流力計形は電力計に使う、静電形は高電圧測定に使う、などが基本。各計器が指示する値(実効値・平均値)や用途を取り違えた記述が誤り。計器ごとの指示値と用途を押さえる。

関連分野:測定・指示計器(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-18 電流計・電圧計法の誤差

要約:抵抗での消費電力を電流計・電圧計の指示の積で求めるとき、誤差率を5%以下にするための電圧計内部抵抗の最小値を求める問題。

解説:電圧計(内部抵抗RV)が抵抗R=500Ωと並列に入るため電流計には余分な電流が流れ、誤差が生じる。誤差率はおおむね R/(R+RV)≒R/RV で、これを0.05以下にする条件 500/RV≦0.05 から RV≧10kΩ。計器の内部抵抗が回路に与える影響を誤差率で評価するのが核心。

関連分野:測定・誤差(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-19 共振回路による静電容量測定

要約:交流電圧に共振しているRLC回路で、電源電圧とコンデンサ両端電圧の比から静電容量Cを求める過程の問題。

解説:共振時の合成インピーダンスZ0=R/(1+ω²C²R²)を使い、電源電圧Vとコンデンサ電圧VCの比 VC/V を複素数で表す。その大きさ |VC/V|=√{1+(ωCR)²} の関係から、測定したVとVCを使ってCについて解く。共振条件下での電圧比から素子値を逆算する流れを押さえる。

関連分野:測定・共振(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

A-20 オシロスコープのプローブ

要約:オシロスコープの10:1減衰プローブで、減衰比を決める抵抗R1と、周波数に無関係に減衰比を保つ補正容量C2を求める問題。

解説:OSCの入力抵抗1MΩに対し、減衰比10:1にするにはプローブ内抵抗R1=9MΩ(直列9MΩと入力1MΩで1/10)。周波数によらず10:1を保つには、抵抗の比と容量の比を一致させる R1·C1=R2·C2 が必要で、C1=5pF、R1=9MΩ、R2=1MΩから C2=45pF。抵抗分割と容量分割を一致させる位相補正の考え方が核心。

関連分野:測定・プローブ(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

B-1 誘電体入りコンデンサ

要約:平行平板コンデンサの電極間の半分が空気、半分が誘電体のときの静電容量を求める穴埋め問題。

解説:空気層と誘電体層では電束密度Dが共通なので、各層の電界はE=D/ε(誘電率に反比例)、各層の電圧はE×厚さ。電極間電圧はその和になる。電荷Q=DSと合わせるとCが求まり、これは空気側の容量C0と誘電体側の容量Crの直列接続の合成容量に等しい。Dが共通=層が直列、という見方が核心。

関連分野:静電容量・誘電体(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

B-2 RLC回路の過渡現象

要約:抵抗・コイル・コンデンサを含む回路でスイッチを入れたときの各電流・定常電圧・特定条件での電流を問う問題。

解説:コンデンサ枝の電流iCは e^{−t/(RC)} で減衰、コイル枝の電流iLは (1−e^{−Rt/L}) で立ち上がる。電源から流れる電流iは両者の和。定常状態ではコンデンサ両端電圧vCは電源電圧Vに等しい。R=√(L/C)のとき両者の時定数が揃い、iが一定(V/R)になる特別な場合がある。各素子の過渡応答の形を押さえる。

関連分野:過渡現象(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

B-3 ミラー効果

要約:FET増幅回路でドレイン-ゲート間容量CDGが高い周波数で及ぼす影響(ミラー効果)を式で追う穴埋め問題。

解説:CDGに流れる電流から、入力側に等価的に現れる容量を求めると Ci=CDG(1+AV)(AVは電圧増幅度の大きさ)。これはゲート-ソース間に接続された静電容量として働き、入力容量が増幅度倍に増える。この現象をミラー効果という。帰還容量が増幅度倍されて入力に現れる仕組みを押さえる。

関連分野:増幅回路・ミラー効果(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

B-4 移相形RC発振回路

要約:移相形RC発振回路の発振条件(必要な増幅度、発振周波数、位相関係、用途)の正誤を判定する問題。

解説:3段のCR移相回路で180度位相を回すため、増幅回路には大きさ29以上の増幅度が必要。発振周波数は f=1/(2π√6·CR)。帰還電圧は出力に対して位相が進み、増幅回路の入出力は逆相(合わせて一巡で同相)になる。一般に低周波の正弦波発振に用いる。発振の振幅条件(29以上)と位相条件を押さえる。

関連分野:発振回路(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

B-5 ケルビンダブルブリッジ

要約:接続線や接触抵抗の影響を除いて抵抗を測るブリッジ(ケルビンダブルブリッジ)の原理・適用・平衡式を問う問題。

解説:ケルビンダブルブリッジは、接続線抵抗や接触抵抗の影響を打ち消せるため低抵抗の測定に適する。比例辺の比をQ/P=q/pに揃えると、平衡式から余分な項が消えて RX=(P/Q)·RS の形で未知抵抗が求まる。4端子測定で接触抵抗を排除する考え方が核心。

関連分野:測定・低抵抗(同分野の過去問が増え次第、ここにリンクを追加します)

まとめ

令和5年7月期1回の基礎は、電磁気・静電気・回路・半導体・測定までまんべんなく出ています。計算は公式に値を入れる形が中心で、記述は素子や現象の原理を押さえれば取れます。テーマごとに「なぜそうなるか」と解き方を整理しておくのが近道です。科目全体の進め方は無線工学の基礎 攻略へ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次